ある夏の終わりのことでした。
そのころ、我が家にはダックスの婆さまがいました。婆さまは時折かかりつけの動物病院のお世話になっていました。主人がその病院から帰ってくると、「里親募集のねこがいた。」とぼそりと言いました。私は「ふん..」とだけ気のない返事をしました。
次の日の朝、主人は何も言わずそそくさとどこかへ出かけて行きました。そして帰ってくると猫を連れていたのです。子猫というよりはもうすぐ大人という感じでしょうか。「大きくなってるから誰ももらってはくれない....」とか何とか、ぶつぶつと言い訳をしました。私は、「ふ~」と大きくため息をつきました。
子供たちは学校から帰ってくると、まあ、大喜び!!白くて茶色い縞々の尾っぽと耳とほっそりとしなやかな体つき、そして、「んにゃっ!」と可愛らしく鳴いて人懐っこく甘えるしぐさ。ダックスの婆さまにもスリスリ、コーギー犬にも全く動じる事も無く平気で擦り寄っていくのです。
娘が「名前は『こはく』!」と決めました。
こはくは、ダックスの婆さまとともに主人の枕に頭を乗せて「大の字」で眠るようになったのです。
-こはく、おまえ、猫じゃぁないな!ー