このところ、忙しい日が続いていました。忙しくなると電車での通勤が億劫になり、バイクで通ったりしていました。その日は仕事が終わらず、いつもにも増して帰宅が遅くなり夜も更けていました。裏の大通りから右折して路地に入り坂を上ってくると革ジャンの胸元に入る風が急に冷たくなって冬が近いことを告げていました。
- さあ、猫たちがおなかをすかして待ってるわ。-
部屋のすぐ下にバイクを止めてフルフェイスを脱ぐと、
- あれ...?ききょう、鳴いてる? ううん、違う。スミレだ!! -
その鳴き声は
「びやぁお!!びやぁお!!」
小さいながらもただごとではありません!
階段を駆け上がり慌てて玄関を開けました。今まで聞いたこともない大きな声です。
「びやぁお!!びやぁお!!」
と部屋の中を落ち着き無く歩き回っています。ききょうは?...
ききょうはいつものように足元へ来てお帰りのあいさつ、
私を見上げて尻尾をゆらゆら...
「みやぉ。」
すみれを捕まえたけど、病気? ..でもなく、怪我でもなさそうです。背中をなでると気持ちよさそうです。
- さかりだ!さかりがきたんだわ...-
つづく