高台の3階の私の部屋は、古いながらも日当たりも風通しも良い部屋でした。その日は天気も良く窓をいっぱいに開けると、春風が優しく通り抜けていきました。
ききょうは、いつものように
「みぃやぁ!みぃやぁ!」
と猫なで声で長い尻尾をピン!と起て私の後を附いてまわって甘えています。すみれもいつものようにマイペースで毛づくろいをして、ちらりちらりとこちらの様子を窺っていました。
ふと気がつくと、ききょうの姿が見当たりません。
「ききょう!」
返事なし! えっ??! すみれはいつも返事をしたこと無いけど、ききょうは呼べば必ず返事をして跳んできました。
「ききょう!」「ききょう!」
「みぃや。」
ン??声遠い?! どこ??
部屋の中じゃない!?落ちた??
ベランダから下を覗くと植木の影にちらりと虎模様、ききょうだ!!
大急ぎ!ツッカケひっかけて慌てて階段駆け下りてベランダ下の植木のほうへ回りこみました。すると、やっぱりききょうがうずくまっていました。
「ききょう!大丈夫?」
「みゃぁ」
よっかたぁ!そこは一応猫、どこもなんともなさそうです。芝生だったことも幸いしたのかもしれません。
私の心臓はまだバクバクいっています。もう、猫が落ちるかぁ?
とにかく、抱きかかえてご近所さんに見つからないように部屋へ戻りました。
そっかぁ、怪我することも病気になることもあるかも、最寄の獣医さん見つけておかなくちゃ!