さぁて、トラは家へ入るなり、あまぁ~い声で
「みやぁお、みやぁぉ!」
のど元をなでてやると早くもコロコロのどを鳴らして、コロン、仰向けに腹を露わにしてあられもない姿。
「あら、お前はおんたなの!」
三毛はやっぱり、部屋の隅っこでそっぽを向いて猫座りのまま。こちらから近づいても知らんぷり。なでてやっても反応なし。ごろんとひっくり返すと、何すんのよ!とばかりに
「びやぁ!」
と嗄れ声で抗議!引っ掻かないだけましか。
「あらまあ、こっちはめんただわ!」
「あんたたち、兄弟でしょ!その割には、全然性格似てないわね。」
早速、私は友人知人、職場関係あっちこっち、里親探しにおおわらわ。頼みの綱だった猫好きの友人も
「家の老猫がね...今はちょっと、子猫はかわいそうよ。ごめんね。」
八方手を尽くしたのに良い返事はありませんでした。
「トラ、おまえは『ききょう』、三毛は『すみれ』」
日が経つにつれ情も湧くし、とうとう自分で飼う決心をしました。
つづく
ふるかわ きみこ